この記事の要点
まずはイーサリアム(ETH)を詳しく
イーサリアム(ETH)の開発を支援する非営利組織イーサリアム財団(Ethereum Foundation)は2026年3月13日、同組織の役割と長期的な方針を示すマンデート(任務文書)を公開しました。
文書では、イーサリアムが将来的に完全な分散型ネットワークとして機能し、財団自体が存在しなくなってもエコシステムが維持される状態を「最終目標」として明示しています。
この方針は、特定の組織や主体に依存しないブロックチェーンを実現するというイーサリアムの理念を改めて示すものであり、財団はネットワークが自律的に発展する環境づくりを重視するとしています。
マンデートでは、コアプロトコルのアップグレード、長期的な研究、サイバーセキュリティ、開発者向けツールの提供などの分野に引き続き取り組む一方、時間の経過とともに組織としての関与を最小化していく方針も示されました。
また、イーサリアムの中核的価値として、検閲耐性、オープンソース、プライバシー、セキュリティ、自由といった原則を維持する姿勢を明示しています。
さらに、ネットワークの分散性を維持することや、ユーザーがオンチェーン上の資産やデータに対する最終的な決定権を持つことを重要な目標として掲げています。
今回の発表は、イーサリアム共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏がレイヤー2(L2)ネットワークの現状について抜本的な見直しの必要性を指摘した直後のタイミングでもあり、ファウンデーションとしての方向性を改めて示すものとなっています。
「L2はもはやシャードに非ず」
「L2構想は終わった」ブテリン氏がスケーリング方針を転換|注目ポイントとは
財団はマンデートの中で、自身の役割を「減算のプロセス(subtraction)」によって縮小していくと明言しています。
時間の経過とともに必要性が低下するタスクに注力し、最終的にはプロトコルとコアアプリケーション層が完全に自律した状態「ウォークアウェイ・テスト(walkaway test)」に合格する状態を目指すと説明しています。
こうした目標設定の背景には、ブテリン氏が2月に示した問題提起があります。
ブテリン氏は「L2のオリジナルビジョンとイーサリアムにおけるその役割はもはや意味をなさない」と述べ、多くのL2がプライベートトラステッドネットワークや中央集権的なシーケンサーを採用しており、完全な分散化への移行計画もないと指摘しました。
さらに、毎秒1万トランザクション(TPS)のスループットを誇っても、マルチシグブリッジでレイヤー1と接続するL2は分散化されたスケーリングではないとも論じています。
ブテリン氏はその上で、L2はイーサリアムのスケーリング層として機能するのではなく、プライバシー・アイデンティティ・金融・ソーシャルメディアといった特定ニッチへの特化が望ましいと主張しており、この発言はL2プロジェクト各社から賛否を呼びました。
このマンデートは、財団が日常的な意思決定への関与を減らす方向性を明文化したことで、イーサリアムのガバナンス構造に直接的な変化をもたらすとみられています。
この方針のもと、コアプロトコルの研究・開発・セキュリティに絞り込んで関与することで、外部の開発者やL2プロジェクトに対して独立した判断の余地を広げることになります。
ガバナンス面にとどまらず、検閲耐性やプライバシーをコア特性として明文化した点も、今後のプロトコル設計の議論において重要な意味を持つと明示しています。
特に各国の規制動向や中央集権的なL2の台頭という状況の中で、財団はこれらの価値観を譲れない原則として位置づけており、設計上の基準点として示しています。
こうした価値観の明文化に加え、ウォークアウェイ・テストという具体的な到達基準を示したことで、財団の存在価値を評価する枠組みが外部にも共有されました。
この基準が実際にどのような指標で測定されるかは今後の課題として残るものの、組織としての透明性を高める取り組みと位置づけています。
Fusaka完了でスケール強化
イーサリアム、Fusakaアップグレード完了でスケール強化|ブテリン氏が開発者を称賛
イーサリアム財団が関与の縮小方針を明文化したことで、エコシステムの発展を担う主体は、より広く外部の開発者やプロジェクトへと移りつつあります。
特にレイヤー2(L2)の分散化問題をめぐっては、ブテリン氏の提起を受け、各プロジェクトがネットワーク設計やガバナンスの見直しを迫られる状況が続いています。
こうした流れの中で、イーサリアムの実用化領域でも外部主導の取り組みが拡大しています。
その一例として、Ethereum Japanは不動産や有価証券などのRWA(現実資産)のトークン化標準を策定するワーキンググループ「DAWG」を始動させました。
L2分散化とRWA実用化という外部主導の動きは、いずれも財団が今回示した関与縮小の方針と方向性を同じくするものであり、イーサリアムの分散型エコシステムとしての成熟度が今後問われることになります
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Source:イーサリアム財団発表
サムネイル:AIによる生成画像


