ビットコイン価格は2024年第1四半期で最も重要なマクロ経済週の1つに突入した。6万6000ドル台で推移し、センチメントの脆弱さ、流動性の薄さ、地政学的リスクにより小幅安の展開。
数週間にわたり高値を切り下げ、暗号資産の草分け的存在であるビットコインは過去最弱の年初となった。現在、トレーダーは米国の経済指標の発表を控え、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ見通し、ひいては暗号資産市場の方向性が問われる局面。
今週ビットコインのセンチメントを左右する5つの主要経済指標を以下にまとめる。
週明けは2月のS&Pグローバル製造業PMIと注目度の高いISM製造業PMIから始まる。
市場予想はS&Pが51.2、ISMが52.0〜52.3。1月は52.6とサプライズ上昇し、2022年以来の最も力強い拡大となった。
PMIが52.5を超え、新規受注や生産も強まれば、「堅調な経済」という見方がビットコインにも波及。
この展開では通常、FRBの利下げは遅れ、米国債利回りやドルが上昇し、BTCなど無配当資産には逆風。
一方、50付近まで低下すれば収縮入りとみなされ、早期の金融緩和期待が強まる。過去には収縮と弱いBTCポジションの時、力強い上昇転換が見られた。
なお、製造業は米国経済の主軸ではないが、週初の指標として3月相場のボラティリティの方向性を決める要因となる。
一方、水曜日にはADP雇用統計が登場し、2月の雇用動向を示す最初の労働指標。エコノミスト予想は民間部門の新規雇用が約5万件、1月の2万2000件から増加を見込む。
ADPは金曜発表の非農業部門雇用者数(NFP)の先行指標とされ、予想と大きく異なるとトレーダーは敏感に反応する。6万〜7万5000件超なら労働市場の底堅さが示され、FRBの「高金利長期維持」姿勢を強める。これが利回りとドル高を促し、ビットコインの重荷となる。
逆に4万件を下回るなど低調なら流動性相場の再燃。労働市場の鈍化が示されれば年内の利下げ期待が高まり、これはリスク資産や暗号資産の追い風となる傾向。
市場はすでに2026年の利下げを2〜3回程度織り込み済みで、ちょっとしたサプライズでもポジションが修正される余地がある。
同日後半にはS&Pサービス業PMIとISMサービス業PMIが控え、注目がサービス分野に移る。
市場予想は52.3〜53.5で安定した拡大が想定される。1月のISMサービス業は53.8だった。
米国経済の大半はサービス業が占めており、この指標は製造業よりも影響力が大きい。
サービス業が堅調で雇用も強ければ、経済の強さが再確認され、短期的な利下げ期待は後退しBTCも重くなる。
逆に需要減退や雇用の弱さが見えれば、すぐに流れは変化する。市場は経済成長の鈍化を示す材料に極めて敏感な状況。
ADP雇用統計とサービス部門の両方で予想を下回れば、ハト派への傾きが一段と強まり、ビットコインは心理的節目となる7万ドル付近までリリーフラリーが起きる可能性。
木曜日の新規失業保険申請件数は、前回21万2000件に対し21万5000件程度が予想されており、労働市場のストレスを高頻度で測る指標となる。
NFP(非農業部門雇用者数)と比べると見過ごされがちだが、失業保険申請件数は金曜日の主要指標の見通しを大きく左右する場合がある。
先週の申請件数は予想を下回り、労働需給のひっ迫が強調された。この結果、ビットコイン価格は6万8000ドルを下回った。
申請件数が引き続き抑制された状態で推移すれば、タカ派的な見方が強まる。労働市場のひっ迫が利下げ圧力を弱める。
逆に、予想外に急増した場合は、景気減速シナリオが浮上し、利回りの圧力が和らぎ、暗号資産を当面支える可能性がある。
NFPに近いタイミングで発表されるため、木曜日の指標はこれまでのシグナルを裏付けるか、新たな不透明感をもたらすかのいずれかとなる。
金曜日に発表される米雇用統計は、今週最大の注目イベントであり、最も相場を動かしやすい材料。2月の新規雇用者数は5万4000人程度と、1月の13万人増から大きく減少する見通し。
失業率は4.3%、時間当たり賃金は前月比0.3%の上昇が予想される。ビットコインにとってもNFPは最も相場を動かしやすいマクロ指標。
もし予想を上回る、例えば8万人超の雇用増や賃金上昇が示されれば、経済が当面利下げできないほど強いとの見方が強まる。
この場合、利回りが急上昇し、ドル高が進み、ビットコインは6万2000~5万9000ドル付近のサポート水準を試す展開も想定される。
一方、軟調な結果、特に4万人未満の雇用増や失業率上昇となれば、利下げ期待が一気に高まり、流動性主導のラリー点火もあり得る。
センチメントが不安定で、ビットコインも7万2000~7万5000ドルの主要レジスタンスを下回る中、今週の経済指標が3月相場の方向性を左右する。

