グローバルでステーブルコインの時価総額が3,100億ドルを超える中(※)、日本円建てステーブルコインの登場をきっかけに、国内のマスメディアでもステーブルコインへの注目が高まっています(※CoinMarketCap、2026年2月時点)。
なかでもJPYCは日本円と連動するデジタル通貨として発行され、暗号資産(仮想通貨)とは異なる法的位置づけを持つ点が特徴です。
一方で、利用・保有に際しては損益計算や税務上の扱いを正しく理解しておく必要があります。
この記事では、ステーブルコインの基本と確定申告のポイントを整理して解説します。
ステーブルコインとは
ステーブルコインは特定の法定通貨(日本円や米ドルなど)や資産と価値を連動させることを目的に設計されたデジタル通貨で、決済手段・送金手段・価値保存手段としての役割を持ちます。
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、高速かつ低コストで価値を送信できるという利便性を備える一方、市場の需給によって価格変動が大きくなりやすく、価値の安定性に課題があると指摘されてきました。
これに対し、ステーブルコインは連動対象の資産と価値が大きく乖離しないよう設計されており、価格の安定性が重視されている点が特徴です。
例えば米ドル連動型のステーブルコインであれば、米ドル基準での価格変動を意識せずにブロックチェーン上で資産を保有できます。
また、企業間決済では国際送金手数料の削減や決済スピード向上が期待され、個人にとっても市場が不安定な局面での資金退避先にできるなど、幅広い用途で活用されているのです。
なお、資金決済法では暗号資産の要件として「法定通貨建てではない」ことが定められているため、ステーブルコインは長らく法的な位置づけが不明瞭でしたが、令和4年度(2022年)改正資金決済法で「電子決済手段」として法的位置づけが整理され、ステーブルコインの社会実装が進みました。
ドル建てステーブルコイン
代表的な米ドル建てステーブルコインとしては、USDT(テザー)とUSDC(USDコイン)が挙げられます。
いずれも米ドルと価値を連動させる設計を採用しており、大きな価格変動を抑えつつブロックチェーン上での送金や保有を可能にしている点は共通していますが、発行体や運営体制に違いがあります。
USDTは2014年に最初のトークンが発行された長い歴史を持ち、米ドル建てステーブルコインの中で最も高いシェア、およそ1850億ドル(約60%)も占めています。ただし、発行体である米Tether社については、過去に準備資産の開示や透明性をめぐり規制当局から指摘を受けた経緯があります。
一方でUSDCは比較的後発であるものの、発行体の米Circle社は準備資産の透明性や規制対応を重視する運営体制が評価されており、その特性から機関投資家や企業の利用・決済インフラでの採用が広がっています。発行会社のCircle Internet Group Incはニューヨーク証券取引所に2025年6月に上場しました。
日本国内においてもUSDCを導入する動きが始まっており、国内取引所のSBI VCトレードでも2025年3月より取り扱いが開始されました。
これにより、日本の投資家・利用者も国内の法規制環境下でドル建てステーブルコインを利用できる環境が整いつつあると言えるでしょう。
日本円建てステーブルコイン
日本円建てのステーブルコインとして、代表的な存在が2025年8月に国内で初めて電子決済手段を発行可能な資金移動業者の登録を取得したJPYCです。
JPYCは日本円と価値が連動するデジタル通貨として設計されており、資金決済法に基づく「電子決済手段」の枠組みに沿って運営されている点が特徴です。
発行体であるJPYC株式会社から、1JPYC=1円の固定レートで売買(発行および償還)が可能であり、発行残高と同額以上の日本円資産(預貯金および国債)を裏付資産として確保する仕組みが採用されています。
これにより、日本円との安定した価値連動が実現されているのです。
日本円建てステーブルコインの登場によって、個人は価格変動を抑えた形でデジタル資産を保有・送金できるようになり、企業にとってもブロックチェーンを活用した円建て決済や報酬支払いなど、実務での活用の幅が広がっています。
なお、JPYCのほかにもメガバンクがProgmatを用いた統一規格で、SBIホールディングスがStartale Group Pte. Ltd.と、日本円建てステーブルコインの検討・開発に着手していることも報じられており、今後は日本円建てステーブルコインの選択肢が広がり、企業間決済や店舗決済などの導入も進んでいく可能性があるでしょう。
税金計算
ステーブルコイン自体は基本的に1コイン=1円または1ドルを維持するため、決済手段として用いた場合に損益が発生するというケースは少ないです。
ステーブルコインを用いた取引によって譲渡損益が生じた場合、一般的にその所得は暗号資産取引と同様の考え方に基づいて課税対象となります。
個人の暗号資産利用者・投資家目線では、このように税務の扱いがシンプルである点が、ステーブルコインの大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、以下のケースでは損益を考慮する必要があります。
● 暗号資産を売却して日本円建てステーブルコインを購入した場合
● キャンペーンの報酬などで日本円建てステーブルコインを取得した場合
DEX(分散型取引所)などの二次流通市場において、保有する暗号資産をJPYCに交換できるケースがあります。
例)
①2023年1月1日 1ETH=20万円の際に0.01ETHを購入した。
②2025年10月1日 Uniswapで0.01ETHを支払って5,000JPYCを購入した。このとき1ETHの価格は50万円だった。また、2025年に他のETH建ての取引はなかった。
この場合は②の取引はETHの売却となりますので、損益計算に取得価額と売却価額との差額を組み込む必要があります。つまり、売却価格5,000円 – 平均取得単価2,000円 = 3,000円の所得となります。
「ステーブルコインに係る取引は課税されない」と誤解しないように気を付けましょう。
また、キャンペーンなどで日本円建てステーブルコインを取得した場合も、所得として認識される可能性がある点に注意しましょう。
損益計算
暗号資産やステーブルコインなどを日常的に取引する際、損益計算を行うタイミングが多くなり、手作業での計算があまりにも煩雑となってしまうケースが少なくありません。
雑所得の金額が20万円を超える場合は、確定申告の対象となるため、まずはそれに該当するかどうか、損益を計算することを推奨します。
そのような場合には、暗号資産専用の自動損益計算ツールの活用がおすすめです。
「クリプタクト」であれば、ブロックチェーンのアドレスを読み込むだけで取引を自動識別し、自動で損益計算を行うことが可能です。キャンペーンや投げ銭を獲得した日付を確定申告期になってから思い出さないといけないような手間を削減できます。
JPYC、USDT、USDCを含む26,000銘柄以上の暗号資産・トークンに対応していますので、日々のポートフォリオ管理など、取引所とブロックチェーンを横断的に一元管理したい場合にも便利にお使いいただけます。
ブロックチェーン上の取引を上手に可視化しながら、デジタル資産を活用していきましょう。
|文:大津良裕/pafin編集
|監修:村上裕一
村上裕一公認会計士事務所・代表税理士。大手監査法人・税理士法人での豊富な経験を積んだ後、Web3(ブロックチェーン、暗号資産・仮想通貨、NFT、ブロックチェーンなど)の専門税理士として、多くのクライアント(個人及び企業)を支援。株式会社pafinの暗号資産の損益計算ツール「クリプタクト」のブログも監修。監修した記事は、「仮想通貨(暗号資産)の税金基礎と計算方法、対策も解説」など。
クリプタクト:https://www.cryptact.com/
defitact:https://www.defitact.com/
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